◎低軌道気象衛星のAPT受信に関して
※NOAA衛星はアメリカ海洋大気庁が管理・運用する気象衛星で、太陽同期軌道を周回しており、毎日2回、日本の上空を通過しています。現在運用されているのは12号、15号、17号で、APT(137MHz帯)とHRPT(1700MHz帯)の二つの周波数でダウンリンクされています。さらにロシアもATP専用ですが、METEORとRESURS等の衛星を保有しています。
この中で、私たちが簡単な設備で手軽に受信できるのは、APTシステムで送出されている137MHz帯域です。
信号音声だけなら、アマチュア無線のリグでも受信可能です。皆さんも一度、受信にチャレンジしてみて下さい。
- はじめに
当然ですが、137MHz帯が受信できる受信機が必要です。モードはワイドFM(帯域幅、40から50KHzが理想)が受信できること。ただし、衛星からの電波強度や受信機の帯域等、受信条件によってはFMモードの方が良い場合もあります。 でも初めは、このモードの方が受信しやすいかと思います。なお同じワイドFMモードでも、機種やメーカーによって帯域がかなり違っていますので、確認しておくことをお忘れなく。 私の場合は、専用受信機R139を導入しましたので、帯域幅は約40kHzに設定されます。- 受信周波数
低軌道気象衛星の送信周波数の最新情報です。 今のところ午前10時前後と午後10時前後に日本上空にやってくる、NOAA 17号の電波が他に比べて強いので、受信の入門には最適だと思います。 なお現在ロシアの衛星は、全て送出オフになっています。
2004年02月現在の衛星運用状況
衛星名 周波数(MHz) 運用状態 NOAA 12 137.50 ON NOAA 15 137.50 OFF NOAA 17 137.62 ON NOAA 16 137.62 APTは故障 RESURE 01-N4 137.85 OFF METEOR 2-21 137.40 OFF METEOR 3-5 137.30 OFF 04年02月29日改定- 受信に際しての注意
一枚の画像を完璧に受信すると状態にもよりますが、ファイルサイズは数MBくらいになってしまいます。受信に慣れてくるとすぐにハードディスクが一杯になりますので、CDーRやMO等の使用をお薦めします。また、メモリーは多ければ多いほどよいと実感しています。- 私の受信設備
もっともシンプルな受信設備の一例です。なお、ソフトの名称はダウンロード先とリンクしてあります。
受信関連器材 品名:型式 受信機 専用受信機 R139 パソコン 東芝E8/420CME メモリー 256MB 受信ソフト WXSat(英語版) 衛星トラッキングソフト WinOrbit,Foot Print(共に英語版) 受信アンテナ 自作QRHアンテナ・地上高約12m
■このたび、専用受信機としてR139を導入することが出来ました■ この機種の紹介や具体的な受信レポート、衛星画像は、こちらをご覧下さい。
■1999年11月より私が受信した中から、月ごとのベスト画像を掲載しました■ 詳細は、こちらをご覧ください。
■低軌道気象衛星の専用アンテナを試作しました。詳細は、こちらをご覧ください■ ※ところで衛星が、今どこを飛行しているのかがわからなければ、受信も出来ません。衛星の飛行位置を知るトラッキングソフトは数多くありますが、代表的なものとして、先ほどの WinOrbit や FootPrint をお勧めします。 これらのソフトは、受信位置などの基本的な設定をするだけで簡単に動作してくれます。 私は機能では WinOrbit、軽さでは FootPrint といった印象を持ちます。 さらにもちろん、どちらもフリーソフトです。ただし、飛行データの更新はお忘れ無く。
■FootPrintの日本語解説ページを設けました。詳細は、こちらをご覧ください■ ※受信ソフトのWXsatは、NOAAをはじめとして他の気象衛星やHF帯域での受信にも対応している使いやすいソフトです。すべて、英語表記なので初めのうちは使いこなしが難しいでしょうが、少し辞書を調べれば理解できると思います。 私の場合も、辞書を片手に奮闘しました。なお、具体的なAPT受信に関しての設定パラメータは、次項をご覧ください。
- WXSatの受信設定パラメータ
■NOAA衛星の受信例■
NOAAを受信する際に必要な、代表的な3つのお薦めパラメータをご紹介します。でも最初は、とりあえず、VISモードの設定で受信してみましょう。
また自動受信の場合は、WAV形式で音声も保存しておくと、後でパラメータを変更して解析できるので非常に便利です。 特に赤枠の設定に注意してください。なお、中央左付近のBasicAmpは、濃度の調節をするパラメータで、同じ衛星でも朝と夕では、微妙にその設定値は、調整が必要です。 私の場合は、1.5から5.2位の範囲で選択します。また、右下にあるS−Nは衛星の通過経路を示しており、北から南下する時はN−S、 逆に南から北上するときはS−Nに設定します。これを間違えると、日本列島が上下逆さまに再現されます。 そして、入力する受信信号の大きさには、十分な配慮が必要です。大きすぎても、小さすぎても、特に歪んでいるとうまく画像になってくれません。
※VISモード(可視光画像モード)
※VIS−IRモード(可視光+赤外画像モード、受信条件さえ良ければ、カラーでとても綺麗です)
※IRモード(赤外画像モード)
■METEORやRESURS衛星の受信例■METEORやRESURS衛星を受信する際に必要な、代表的なお薦めパラメータをご紹介します。ここで注意しなければいけないのは、これらの気象衛星は可視光画像モード専用である点で、現在のところ日中のみの運用となっています。 また自動受信の場合は、WAV形式で音声も保存しておくと、後でパラメータを変更して解析できるので非常に便利です。 なおNOAA衛星の受信と同様に中央左付近のBasicAmpは、濃度の調節をするパラメータで、同じ衛星でも朝と夕では、微妙にその設定値は、調整が必要です。 私の場合は、3.0から3.6位の範囲で選択します。また、右下にあるS−Nは衛星の通過経路を示しており、北から南下する時はN−S、 逆に南から北上するときはS−Nに設定します。これを間違えると、日本列島が上下逆さまに再現されます。 そして、入力する受信信号の大きさには、十分な配慮が必要です。大きすぎても、小さすぎても、特に歪んでいるとうまく画像になってくれません。レベル合わせの目安としては、左右のバーシグナルが全て認識できる状態が、ベターだと思います。
※VISモード(可視光画像モード)
- 実際の受信画像
このたび、受信画像を別ページに掲載しました。こちらをご覧下さい。なお、少し重たくなりますがご了承下さいませ。- 最後に
このNOAA衛星からの受信に関しては、JA1ORH、中村氏に多大なアドバイスをいただきました。 謹んで感謝いたします。ホームページはこちらです。 多くの衛星受信に関しての情報が満載されています。マニアの方には、参考になる情報がたくさんあると思いますので、ぜひご覧ください。 実際の受信画像等も豊富です。