◎このたび、APT気象衛星専用受信機 R139(完成品) を導入しました。
※米国、Hamtronics社から発売されている、APT気象衛星専用受信機 R139(完成品) を用いて画像の受信に挑戦しました。以下にその受信内容等をレポート致します。
- 初めに
10ページにも及ぶ、英文取扱い説明書や回路図が添付されてきました。私は語学に堪能ではありませんので、基本的な内容と思われる部分のみを和訳しました。もっとも、操作は至って簡潔明瞭で、一般的な受信機器を使ったことがある方ならば、それほど悩まなくても良さそうです。 参考までに、この英文取扱い説明書と回路図をPDFフォーマットで作成しましたので、以下に置いておきます。 ご入り用の向きは、プラグインを設定された後にダウンロードなさってください。
R139 Weather Satellite Receiver
Instllation,Operation,&Maintenance◎画質を優先すると1MBにもなりましたので、少し画質を落としてあります。
それでも10ページありますので、約582KBになりました。
- 主な仕様(取扱い説明書より)
- 電源電圧:10〜15Vdc
- 消費電流:0.1A(最大音量、未受信時)
- スキャン周波数:137.30,137.40,137.50,137.62,137.85各MHz
- スキャンチャンネル数:内臓クリスタル5ch
- 受信感度:137MHzにて0.18μV
- 受信帯域:WFM(約40kHz)
- 外観写真
R139外観写真 カバーを開けた、内部の基板部分
※内部の基板は整然と配線されており、至ってシンプルでした。部品と基板さえ揃えば、ほとんどの方は製作できるレベルではないでしょうか?別途、キット品を購入して、組み立てに挑戦してみるのも良いかもしれません。 ただし、調整に必要な測定機器類が必要になりますが・・・。私の場合は、測定機器の持ち合わせが全くありません。- 受信に際しての準備事項
- 電源部分やピン端子の極性に注意して配線する。(基本的な事項)
- 出力レベルの設定は、十分に吟味する。この音量設定は、経験を重ねるしか方法は無いものと考えます。
- 今回導入した R139 は完成品ですので、特に何も調整はしていません。
- 接続等に関しては、従来の受信機器とまったく同一感覚でOKです。
- 最初に、スケルチを外した状態での受信からスタートします。使用アンテナは、従来のディスコーンアンテナです。
- まず、受信する衛星のパス時刻を調べる。
- パスの時刻が少し過ぎた頃に、あの独特な信号音が浮き上がってくるような感覚で聞こえてきます。
- NOAA15の場合、約10°のパス条件でも、ノイズ混じりですが、ある程度認識できる画像になりました。
- 次に、スケルチを11時位の位置(無信号時のノイズを消して、さらに少し右に回した位置)に設定してスキャン機能をオンにしての受信です。使用アンテナは、従来のディスコーンアンテナと自作のQHFアンテナです。
- スケルチを設定することで、自動的にスキャン機能がオンになります。さらに、5つのLEDが次々に点滅して、あらかじめクリスタルにて設定されている5つの周波数のスキャンを開始します。
- スキャンが機能しているので、約20°位のパスから受信した周波数に対応するLEDの点滅が停止し、その時点でスキャン機能、スケルチ機能が解除され受信した周波数の信号音がPCに入力されます。
- PC側でWxsatを自動受信モードに設定しておくと、信号を認識した時点でスタートして画像のデコードが始まります。
- 衛星からの受信信号が弱くなるとスケルチが働き、再びスキャンが自動的に開始されます。
- 気象衛星別による比較受信
- NOAA15■今のところ、この衛星が一番安定して受信出来るようです。ただし、夕方のパスは、IRモードの受信をお勧めします。
- NOAA14■通常は、午後3時から4時の時間帯にパスがあります。条件さえ良ければ、綺麗な明るい画像が再現されます。深夜の4時前後にもパスがありますが、受信するには眠い時間帯です。2001年12月現在、衛星でトラブルが発生しているようです。
- その他にもいくつかの気象衛星がありますが、今のところ日本上空を通過する時刻にはオフになっている場合が多いようです。
- ソフト側(Wxsat)のBasic amp設定値
通過時間帯 受信衛星 お勧め受信モード 参考値 参考画像 朝のパス(南下) NOAA15 VIS-IR(カラー) 1.90 画像1 昼のパス(北上) NOAA14 VIS-IR(カラー) 1.20 画像2 夕方のパス(北上) NOAA15 IR 4.20 画像3 深夜のパス(南下) NOAA14 IR 4.20 画像4 −−−− METEOR3/5 IR? 3.00 画像5
- 上記の推奨値は、受信状態や時刻、さらに本体に入力される受信音量によって微妙に変化します。あくまでも参考値です。
- METEOR3/5衛星は、通過時間帯が不規則になっています。なお、現在は日中の午前のみに受信可能です。
- 受信感度が予想外に良かったので、受信アンプを通すと入力信号が歪んでしまって、音量の設定がとても困難になりました。今のところ、受信アンプは不要です。この受信機を用いることで、NOAA12とNOAA15が干渉し合って不都合が生じるという意味がわかりました。
- 聴感上で感じるノイズレベルと再現画像の違いにも驚いています。従来は、それほどノイズが無くても綺麗な画像が再現できない時がありましたが、この受信機は結構ノイズが大きいと耳で感じても画像としては、かなりの再現レベルで復調されています。簡単に表現すると、ノイズが目立ちにくいといったイメージです。
- スケルチを切った状態では、NOAA15衛星の60°位のパスに於いて、北はシベリア付近から南はフィリピン近海までかなり広範囲に再現されます。
- 幸いなことにドップラー効果に対しては、帯域幅が最適化されているのでまったく考えなくて良いようです。
- 私は普段の受信に於いて、ディスコーンアンテナと自作のQHFアンテナの両方を切り替えスイッチにより選択して受信しています。今回、この切り替え時に発生するノイズもすこぶる改善されています。特に信号レベルが強い時は、まったくその復調画像に影響を与えないレベルです。もっとも、コンバイナー等を用いれば切り替えスイッチが不要になり理想的だと思います。
- 最近になって気が付いたのですが、パス角度が10°前後でもQHFアンテナの方が入感する信号レベルが高い時があります。NOAA15の場合、夕方北上する時にこの傾向が顕著に現れているようです。しかしながら、天候や飛行コース等の条件により変化し、常時現れる現象では無さそうです。
- 本体には、スピーカーや受信レベルメーター類が一切無いので信号状態の判断が容易には出来ません。私の場合は、パソコン本体にヘッドフォンを接続して受信信号の確認をしています。ただし回路図を見る限りでは、簡単に追加が可能かと思います。しかしながら、そのシンプルな機能が特徴なのかもしれませんね。
- とにかく、専用受信機はすごい・・・の一言につきます。初代の受信機、R137から始まって現在のR139迄に数々の改良が加えられて、今の仕様になったようです。世界中のマニアに愛用されているのも納得です。価格的にもリーズナブルですので、これはお勧めの逸品です。
- 関連リンク先:米国Hamtronics社、R139の紹介ページ。